焦点距離のお話
焦点距離について質問を受けたので、なにかわかりやすいようにまとめられないかと思ったので書きます。
しかし自分もこういった知識はほぼ独学なため、わかる範囲でのまとめで、なにか間違っていたらごめんなさい。
センサーサイズの話
まず焦点距離や画角の話の前に、センサーサイズというものを知ってもらったほうが理解が早いと思う。
最近はフィルムで撮る人よりミラーレスやコンパクトデジカメで撮る人のほうが圧倒的に多いからで、もしフィルムを使っている人なら、この記事や内容自体わかりきっているだろうし。
デジタルカメラにはフィルムに変わってセンサーが入っている。
そのセンサーの受光部にレンズからの光が入って写真が写る。
一眼レフやミラーレス一眼であれば、レンズを外してセンサーを直接見ることができる。
左(EOS 6D)がフルサイズセンサー 右(EOS 60D)がAPS-Cサイズセンサー
フルサイズというのは35mmフィルムとほぼおなじサイズになる。
APS-Cはその約半分のサイズになる。
ミラーレスとなると、更に小さいセンサーになる。これはPENTAX Q7。1/1.7型
マイクロフォーサーズのカメラは持っていなかったので写真がありません。
OLYMPUS PENとかPanasonicのはマイクロフォーサーズという規格・サイズになります。フォーサーズって4/3型で、4(フォース)と3(サード)でフォーサーズらしいです。
簡単にまとめると、
- カメラによって受光部(フィルムのかわり)のセンサーサイズが異る
また、すごく大雑把な言い方をすると、センサーが大きいと写りもキレイで暗いところでの撮影に強い。
焦点距離の話
カメラのレンズには焦点距離というものがある。
ズームができない単焦点レンズの50mmとか
ズームレンズの24-70mmとか。ちなみに単純計算で70÷24=2.916…で3倍ズームのレンズになる。
これは50mmのレンズの内部構成。レンズは中に複数の凸レンズや凹レンズが組み合わさってできている。
まずはカメラの超簡易的なイメージ図。
本来なら本当に1枚のレンズでも写せるのだが、周辺がぼやけるとか、ピントが合わせられないとか、サイズが大きくなりすぎるとか、そういうのを補正するためにたくさんのレンズを使っており、それを光学的に計算して1枚のレンズに見立てている。
そこで、1枚の大きなレンズから、センサーまでの距離を焦点距離と呼ぶ。
次に、レンズを通して写真が撮れる仕組み。
小学生の頃に理科の実験でやりましたよね。
ろうそくの光が凸レンズを通してスクリーンに映し出されます。
このスクリーンがカメラでいうとセンサーになる。
そして50mmのレンズを使ったとしたら、センサーとレンズの距離が50mmになる。
50mmは5cm、普段ものさしとかに書いてある目盛りの5cmです。
そこで、スクリーン(センサー)のサイズが小さくなったらどうなるのか。が以下の絵。
同じレンズで同じ焦点距離で撮っても撮れる画が変わります。
中心部でトリミングされたような状態になります。
センサーサイズが小さくなればなるほど、中心部をズームした画になります。
ズームレンズの話
ズームレンズは大きな1枚のレンズがセンサーに近づいたり、遠くに行ったりします。
この絵だと20-100mmのズームレンズになります。5倍ズームですね。
そして広角レンズと望遠レンズの画角の違いについて。
広角レンズはセンサーからレンズの距離が近いもの。
広い範囲が写ります。
望遠レンズはレンズの距離が遠いもの。
必然的に遠いところを写すのに適したものになります。
簡単にまとめると
- 焦点距離の数字が小さければ小さいほど広角、大きければ大きいほど望遠のレンズ
焦点距離の計算の話
今度は焦点距離の計算の話。ここからが本題だと思う。
50mmのレンズは、フルサイズのカメラで撮ると、50mmになります。
これはフルサイズ(フィルムサイズ)で撮ることを前提とした設計だからです。
APS-Cのカメラで撮ると、50mmの画角の中心部をトリミングするので、75mm近くの焦点距離と同等になります。
CanonのAPS-C機をお使いなら、1.6倍で80mmになります。これはメーカーに寄ってセンサーのサイズが若干ちがうから。
これを35mm判換算という。なので「35mm判換算で80mm相当」と言ったりする。
マイクロフォーサーズだと2倍
1/1.7型だと約4.5倍
自分の持っているカメラのセンサーサイズと掛け数を覚えておくと便利です。
つまり400mmのレンズをPENTAX Q7につけると1800mm相当になる。超望遠。
これは先日分解掃除したレンズ。正面に18-135mmと書いてある。
APS-C専用レンズなので換算で29-215mm相当になる。
これはコンパクトデジカメのPowerShotG11、センサーサイズは1.1/7型
コンパクトデジカメにもレンズの焦点距離が書いてあり、これは6.1-30.5mmのレンズ
(約)28- 140mm相当になる。5倍ズーム。
そしてレンズにはフルサイズ対応のもの、APS-Cサイズ対応のもの、マイクロフォーサーズ対応のもの等がある。
小さいセンサーに合わせて作ったレンズは、周辺部を写す必要がないので小さくてすむ。
逆にフルサイズ対応であれば大きいレンズにしなければならない。
ミラーレスが軽量化できるのはセンサーとレンズのサイズによるもの。
ちなみに小さいセンサーの機種にフルサイズ対応のレンズを付けることなどはできる。周辺部をただ使わないだけで、焦点距離は換算した数値になる。
実際にフルサイズの機種にAPS-C専用設計のレンズを付けるとどうなるのか、撮ってみた。
(通常は小さい機種のレンズはつけられないが、SONYのα7ではつけることができる)
16mmの広角レンズ。
APS-C用の16mm。中心部の画はほぼ同じように写るが、周りが黒い。
50mmの標準レンズ。
APS-C専用の50mmレンズ。どうやっても周りが黒い。
この黒い部分をケラレと呼ぶ。
こんなふうに、使わない部分は写らなくても良いように設計してある。
ちなみにCanonのEF16-35mmとSONYのAPS-C専用レンズE-PZ16-50mmを後ろから見た写真。
レンズの大きさがかなり違います。おなじ16mmスタートでもミラーレス用は軽くて小さいです。
以上、レンズと焦点距離のお話でした。